逆子の灸


逆子とは子宮内で赤ちゃんの頭が上を向いている状態(骨盤位)をいいます。

妊娠が進むにつれ、赤ちゃんは大きくなり重たくなった頭は自然に下を向きます。


しかし、何らかの理由で逆子のまま大きくなると頭から産道を通り抜けることができず自然分娩しづらくなります。

そのため当院ではお灸を使用し逆子のケアを行います。


至陰、三陰交といった一般的な逆子に効くとされているツボを使用する場合もございますが

当院ではママさん一人一人の生活習慣や身体の癖をお聞きし治療を行います。



妊娠中のお身体にも鍼灸治療は安心・安全ですので大変オススメです。



30週を超えた場合でもお気軽にご相談ください。

持続的なケアが必要な場合、ご自宅でお灸をして頂く場合もございます。その際には適切な箇所にマークをお付けしますので、ぜひご相談下さい。

症例報告

1)鍼灸治療の有効性
逆子の鍼灸治療の報告は,1950年代に,産婦人科医の石野信安が,20例中16例(80%)が頭位となったことを報告しました2)。また,1980年代には,産婦人科医の林田和郎が,584例の逆子に鍼灸治療を行い,89.8%の高い有効率を報告しました3)。

この2論文を含め,1950年以降,わが国の主な症例集積論文は16件あり,12件が72.2%以上の回転率です。治療時の週数が32~35週で検討した10論文中8論文が61.4%以上の回転率でした4)。
ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)については,1998年以降,中国,イタリア,スイス,オーストラリア,スペイン,フランス,デンマークなどで,8件報告され,有効4件,無効4件でした5)。

2)治療方法
鍼灸治療法は,わが国の16論文中,鍼は8論文で,うち7論文が三陰交(SP6)(内踝の上方,約10㎝,頸骨後際)への刺鍼でした。灸は15論文で,14論文が至陰,9論文が三陰交で,12論文が両穴を併用し,また,7論文で自宅での灸を指導しています。灸の多くは直接灸でした。また,海外の8件のRCT論文中,灸のみは6論文,鍼と灸併用は2論文で,灸法は温熱刺激の棒灸,経穴はすべて至陰が使用されていました6)。

3)副作用
わが国の16論文および海外の8RCT論文の副作用報告は,嘔気,水疱・色素沈着,皮膚損傷,切迫早産などがありますが,重篤な報告はなく,鍼灸は,安全な介入方法と考えられました6)。

4)骨盤位に対する鍼灸効果のメカニズム
生体に対する研究には,林田3),高橋7),釜付8),Dunn9)などの論文があり,また,動物実験では,ラットでの佐藤ら10)の研究があります。
これらを整理すると,下腿・足部への刺激が,脊髄性あるいは,上脊髄性の自律神経反射により,臍帯動脈や子宮動脈を拡張し,子宮への動脈血流増加を促した結果,子宮の血流量が増えて軟らかくなり,胎児を返りやすくしている,と考えられます。

【文献】

1) 賀川玄悦:子玄子産論. 1765.

2) 石野信安:日東医誌. 1952;1(3):7.

3) 林田和郎:東邦医会誌. 1987;34(2):196-206.

4) 小井土善彦:逆子の鍼灸治療 第2版. 形井秀一, 編著. 医歯薬出版, 2017, p29-37.

5) 東原亜希子:逆子の鍼灸治療 第2版. 形井秀一, 編著. 医歯薬出版, 2017, p38-44.

6) 形井秀一, 編著:逆子の鍼灸治療 第2版. 医歯薬出版, 2017.

7) 高橋佳代, 他:東女医大誌. 1995;65(10):801-7.

8) 釜付弘志:日東医誌. 1995;45(4):849-58.

9) Dunn PA, et al:Obstet Gynecol. 1989;73(2): 286-90.

10) Sato Y, et al:J Auton Nerv Syst. 1996;59(3): 151-8.

  • 逆子の灸を行うにあたって
  • 安定期を超えてからなります施術が可能になります。
  • 出血、服薬、持病等がある場合は施術内容を一部変更する場合がございます。
  • 切迫早産など安静を指示されている場合でも往診が可能な場合もございます。
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